No.10 - やわらかい花弁 メモとか落描き

No.10

淡い夢を見ていた

いつものように朝食の支度を済ませると廊下に出る。ついでに軽く窓を開けながら自室の反対に向かう。風除室前を横切りそのまま廊下を真っ直ぐに進む。
右手にある扉を開けると奥にあるもうひとつの扉をノックするが部屋の主にはきっと聞こえてはいないだろう。
返事もない。いつもの事だ。
ノブを静かに回し隙間なく重く引かれたカーテンに手を伸ばし短く声をかける。

黒鷹、朝だぞ
返事はない。

黒鷹、朝だ、朝食の用意ができているぞ
返事は、ない。
ため息をつきながらカーテンを開けると朝の光が静かに差し込む。

黒鷹、
────ああ、おはよう、玄冬

返事の内容とは裏腹にその声の主は光を拒むように布団の中、奥深く潜り込もうとする。
それもいつもの事だ。
無理に起こそうとすれば不機嫌そうな表情で俺の腕を掴み引き摺り込もうとするのだろう。

いつの頃からか繰り返す静かに迎える同じ朝。
お前がくれた日々は"玄冬"として生まれた俺には十分過ぎる時間で当たり前じゃないけれど、当たり前の日々になっていた。


遠く、淡い夢を見ていた気がする


あの日
当たり前は当たり前じゃなくなった。




ツイッターから格納です。あちらで変換ミスってたので修正しました。
玄冬視点、普通の黒親子。
以下ツイート時点のあらまし。初の試みなので未熟さはご勘弁ください。

黒玄を描く小鳥遊さんには「淡い夢を見ていた」で始まり、「当たり前は当たり前じゃなくなった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば8ツイート(1120字程度)でお願いします。
書き出しと終わり
http://shindanmaker.com/801664

小説用なんだろうけど"描く"でやってしまった上に文にした
2018年9月4日 13:01(pixiv)
畳む